第三者の意見との戦い

東京オリンピックの開会式前日に、Aさんと行った会話。

ところで、あなたはオリンピック開催に賛成?それとも反対?

もうここまで来たのだから、やればいいんじゃないですか?

(明らかに不満そうな顔をして)
あなたの意見を聞いているんだけど。

(その人の醸し出すトーンが『私は反対です』というものだと感じたので)
Aさんは反対のようですが、なぜですか?

それは、~
(五輪開催で変異ウイルスが持ち込まれたり、お祭り気分で若者のタガが緩んだりすることで感染拡大につながり、それが医療崩壊につながることを滔々と説明)

テレビなどでよく聞く内容ですね。
Aさんがその論旨に賛同していることはわかりましたが、Aさん自身はなぜ反対なのですか?

だから、~
(先ほどの説明を、一言一句ほとんど違えずに繰り返す)

一生懸命に社会や医療従事者への影響を根拠にしようとしているけど、話ぶりから察するに『私は感染するのが怖いからいろいろと自粛しているのに、人の気も知らずに能天気にお祭り騒ぎをしている奴らが気に入らない。だからオリンピックに反対する』ということなのでは?

・・・。言われてみると、そうかも。


私も仕事柄、「○○さん(権威ある人)がこう言っていた」「法律がこうなっている」など、自分の意見を表に出さずに伝えることをしがちです。

でも、それに相手が納得してくれる場合は良いのですが、そうではない場合は 「○○さんがこう言っていた。私はそれに賛成」 「□□さんはこう言っていた。私はそれに賛成」 という具合に、○○さんと□□さんの代理戦争のような様相を呈しそうです。
しまいには「○○さんが言ったことに賛成できないのなら、思想の違うあなたと一緒にビジネスができない」とまで言われそう。

でも、この流れの議論には、あまり共感できないんです。なぜって、「今、目の前にいる人」の心の内が見えないから。なぜその人がそういう考えに至ったのかが見えないから。そしてその人が、二元論的な対立構造に誘導して他の選択肢を消した上で、自分は多数派に属していることを確認して安心したいだけのような気がするから。

どうせ議論するなら、「どの評論家の意見に賛成するか」ではなく、その人自身の意見と直接向き合いたいなと思った出来事でした。私も気をつけないと。

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