SDGs(持続可能な開発目標)は今年、2030年までの行動計画期間の半分を超えました。
大企業や官公庁に伺うと、「SDGsピンバッジ」を付けている方が多く、浸透しているようです。しかし、サステナブルな事業をしていることを自分たちで宣言するだけでは信用してもらえません。そこで、自社の製品やサービスのサステナビリティを客観的に評価してもらう必要があります。

サスティナブルなイメージ

そのような評価の方法の一つとして、サステナビリティに関する認証の取得があります。
弊オフィスに最近ご相談が増えているものはISCC Plusの認証取得です。

Contents

EUの再生可能エネルギー指令が発端

欧州では2009年にRED(※)が施行されました。REDではバイオ燃料とバイオ液体の生産に関する規制を定めています。REDの施行により、生産者、加工業者、消費者による広範なサプライチェーンが世界中に構築され、ネットワーク化されました。そして、RED要求事項への準拠を評価・認証する制度が構築されています。そして現在、REDcertやISCCといった制度がサプライチェーン全体のRED認証を担保しています。
※:Renewable Energy Directive (再生可能エネルギー指令) : 2009/28/EC

REDcert

欧州全体で適用される品質認証スキームとして策定。特に、持続可能な生産基準、管理基準、トレーサビリティ文書の評価、および温室効果ガス削減計算の評価に対応。

ISCC

International Sustainability & Carbon Certification(持続可能性カーボン認証)の頭文字。バイオマス、バイオエネルギーを中心とした認証制度。

種類対象
ISCC EUEU域内REDに定められたバイオ燃料及び
バイオ液体
ISCC PLUSEU域内、域外問わずプラスチック、化学薬品、食品と飼料、
EU & UKの域外のバイオ燃料
ISCC CORSIAEU域内、域外問わず航空燃料
<ISCCの主な認証スキーム>

その他の認証制度

このような認証制度は他にもあります。製造業に関連するものの代表例は以下の通りです。

  • GRS:Global Recycled Standard(GRS認証)
  • RCS:Recycled Claim Standard(RCS認証)
  • SCA:Sub-Committee Accreditation(認定小委員会)
  • SBP:Sustainable Biomass Program(持続可能なバイオマスプログラム)
  • RSB:Round Table for Sustainable Biomass(持続可能なバイオ燃料のための円卓会議)
  • GGL:Green Gold Label(GGL 認証)

サスティナブル認証が広がる影響

これらの認証制度は、自社のサステナビリティを証明するものという位置づけです。その一方で、サプライチェーンを統廃合させるような動きも垣間見えます。例えば、ISO9001の黎明期には「ISOを取らないと取引ができなくなる」と言われていました。今回も、顧客から「取引を継続したいなら認証取得を」と要求されることもあるようです。

現在、サステナブル認証取得を進めているのは以下のような業界です。

  • サプライチェーンの最も川上である石油化学産業
  • ブランドオーナー(エンドユーザー)に部品や材料、包装材、容器などを卸している商社

しかし、サステナブル認証はサプライチェーン全体が取得しないと意味がありません。従って、この動きは次第に川中に波及すると考えられます。

日本の場合、川中を構成しているのは主に中小企業となります。
現在、国内の大企業は最近、史上最高益を出しているなど業績は好調です。その反面、中小企業は、収益性が悪化しているところが多くなっています。その主な原因は、コロナ禍の影響に加え、原料や光熱費、人件費の上昇を製品の価格に転嫁できていないようです。

顧客との取引を継続するためといはいえ、これらの認証取得には費用と手間がかかります。収益が悪化している中で難しい経営判断を迫られそうです。

サプライチェーンから外されないように準備しましょう

例えばISCC認証の場合、川上と川下の大企業のISCC認証取得はあと2~3年で峠を越しそうです。そして、その後は川中企業に対する認証取得の圧力が強まってくると予想されます。
供給者や顧客、商社などから情報を得ながら、体制面や資金面の準備を少しずつ進めませんか?