セミナーのオンライン化によって、講師・セミナー会社(1)受講生(2)に起こったことをお話ししてきました。今回は、”これからのセミナー”のお話をしたいと思います。

まずは、その1、その2でお伝えしたことを因果関係図にまとめてみました。

セミナーのオンライン化で起こったことの因果関係図

オンライン学習は移動がないことなどから時間を有効に使えます。

その反面、今のままでは教室授業と比べると理解度・習熟度が低くなっているのではないかと思います。講師もそこに歯止めがかけられていないようです。
皆さんはどう考えますか?そんなことはないと思いますか?

それでは今後はどうなっていくのか、私なりに予想してみました。

主流は「コンテンツ消費型」

テレビで難問クイズ番組が流行っています。YouTubeでも「○○を教えます」という動画も数多く視聴されています。知識欲を満たしたいという意識が強くなっていることがわかります
「隙間時間を、学びに使いたい」というニーズは今後も続くでしょう。

一方で、「ながら視聴」の増加、単一テーマを短時間で伝える動画が人気となっています。これらを鑑みると、深い学びは求められていないようです。
短時間で楽しく学べて、一回見ておしまい、という講義のニーズが高そうです。まさに、コンテンツ消費型のような講義ですね。

オンデマンドとライブ配信の住み分け

受講生の反応を見る必要がないなら、講義は一方的に伝えることでもことが足ります。まるでテレビの録画放送のようですね。

また、複数の人が講義の中で同じ時間を共有する必要は薄いと思います。その場合、講義を事前に録画しておき、オンデマンド配信とすることでも対応できそうです。受講生は好きな時間に講義を聞くことができるのでニーズを満たせます。

しかし、講師は配信スキルが求められます。芸人さんレベルではなくても、話を聞いていても飽きない程度の話術は求められそうです。

画面にも工夫が必要です。例えば講義資料はパワーポイントで作成して画面共有することが一般的です。でも、これでは単調になりがちで飽きられそうです。
そこで、例えばOBS(Open Broadcaster Software)のようなシステムを使った講義が拡大しそうです。OBSを使うことにより、以下のような演出が可能になります。

  • 画面を動的に切り替える
  • 画像や音に演出を加える

このような編集により、テレビ番組のようなセミナーを配信していくことが必要になるかもしれません。

一方、ワークショップなどはオフラインの方が効果が高いように思います。知識を深めるための講義はオンデマンドで聴講し、理解を深めるためにオフラインのワークショップに参加するという流れがセットになるのではないかと思います。

対面で行う意義が見直される

同じ目的の人と場を共有した学びは、オンラインでは得られないものがあります。
例えば、見える範囲が相手の顔やバストショットだけではないことから、全体(ホールネス)でコミュニケーションができるようになると思います。

また、報告・連絡や議論はオンラインでも行いやすいですが、対話(ダイアローグ)はオフラインの方がやりやすいように感じています。対話を通じて関係性を深めたり内省を促したりするようなセミナーや、リトリートのように日常から切り離すことで何かを伝えることを目的とした研修は、オフラインに戻っていくのではないでしょうか。

そして、感染リスクを負ってでも対面で参加したいと思わせる講義やセミナーは、オンラインと比べて価値の高いものとなっていくと思われます。


最後に。

コロナ禍により、ますます先行きがわからない時代になっています。

教育研修に限らず、今まで通りにできないことも多くありますが、コンサルタントとしては、変化にストレスを感じるのではなく、いい方向にとらえて解決できるような方策を、クライアントと一緒になって見出していきたいと思っています。