日本経済新聞の2020年11月21日の記事によると、BMWが中国国内で生産したEVモデルの欧州への輸出を2021年初めころまでに開始するとのこと。また、テスラも今年の10月から輸出を始めているほか、中国の国内大手企業によるEVの輸出が始まっているとのこと。日本の日産やホンダでも同様の動きを取っているようですね。「EVの中国」の存在が大きくなり、「中国製造2025」は着々と進んでいるようです。

以前、車載電池関連の新素材開発に関わらせていただいたことがありますが、実績を重視して新しい素材の採用に慎重な日系企業と比べ、中国系企業は性能が確認できるとリスクをコントロールできる範囲で採用し、問題なければ順次範囲を拡大していく動きを取ることが印象に残っています。
思い返すと、当時取引していた中国の材料メーカーも「クレームがあったら交換すればいい」という感覚でしたので、品質問題には厳しい日本と比べると、メーカーもユーザーもリスクを負えるのかもしれないですね。

世界はEV化にシフトしているようですが、日本国内ではハイブリッドが中心でEV販売はまだまだ伸びないですね。航続距離の短さと充電時間の長さがネックになっているような話を耳にしますが、これを聞くとiPhoneが出始めたころの携帯電話ユーザーの反応を思い出します。スマートフォンが爆発的に普及してフィーチャーフォン(ガラケー)があっという間に駆逐されたように、EVもあっという間に普及して内燃機関で動く自動車もガラパゴス化するような気がしてなりません。
今からEVを広めるか、それともFCVか。個人的にはFCVに期待しています。(こちらも以前携わったことがあるので。(笑))

同記事では「恩恵は日本の部品・素材企業にも及ぶ」とありますが、ここで例示されているのは電機系と素材系の企業でした。でも、中国産EVが世界に輸出される動きが加速すると、心配なのは日本の金属部品メーカーの先行きですね。「当社の部品はトヨタや日産にも使われている」と仰る経営者様に「EVになったらどうなりますか?」とお聞きしたら絶句されたことがあります。その後は電気自動車業界の調査・アプローチや自動車産業以外への展開を検討する動きとなりました。

人は、知ることで、初めて関心を持つ。まさにその通りですね。

(アイキャッチ画像は、日経の記事とは無関係です)