みなさん「中国製造2025」をご存じですか?
中国が掲げる産業政策で、2015年5月に発表されたものです。

序文に「今後3度にわたる 10カ年計画を経て、建国100年を迎える 2049年までに、世界の製造業の発展を率いる製造強国へと中国を発展させ、中華民族の偉大な復興という「チャイナ・ドリーム(China Dream)」実現に向けた土台を固めなければならない。」(JST研究開発戦略センターの訳文より)とあり、30年という長期計画(”国”というスケールでは短期かもしれません)における最初の10年間の計画という位置づけとなります。

JST研究開発戦略センターの訳文:https://www.jst.go.jp/crds/pdf/2015/FU/CN20150725.pdf

中国は、2017年に開かれた第19回中国共産党大会で、建国100年までに「富強、民主、文明、調和の美しい『社会主義現代化強国』の建設を目指す」としており、第1段階である2020年から2035年までの15年間で、「経済力、技術力を大きく向上させ、イノベーション先進国となる」とし、さらに2050年までの第2段階では「総合的な国力と国際影響力において世界の先頭に立つ国家になる」と宣言しています。「中国製造2025」の内容は、この宣言とも整合していることがわかります。

先日、私の所属する研究会で、2018年に発刊された『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか。』(著:遠藤誉 PHPエディターズ・グループ、2018年)について改めて内容を確認するとともに、コロナ禍を経た現在の状況についてディスカッションを行いました。

経済産業省は、平成29年(2017年)に「中国製造2025」に関する調査結果を公開しています。
これによると、例えばロボット分野では、日本と合弁でロボット企業を設立し、その後は海外の有力企業を買収して世界シェアを確保していく流れが、すでに行われていることがわかります。
先日、レナウンの倒産が発表された際、マスコミでは会計に対する考え方の違いがリスクである旨が報道されていましたが、中国側の背景にはロボット分野と同様の考え方があるのではないかと感じています。


『「中国製造2025」の衝撃』の著者である遠藤教授は、2019年に(一社)中国問題グローバル研究所を立ち上げ、中国の国際関係や経済などの現状や動向について精力的に情報収集と発信をされています。

中国問題グローバル研究所:https://grici.or.jp/

孫子の有名な格言に「彼を知り己を知れば百戦殆からず」というものがあります。
インターネットが普及した現在、敵の情報を得ることは昔に比べてはるかに容易になっています。その一方で、情報を受動的に受けていると、視点が偏った情報や恣意的な情報が多く集まり、本質をつかみにくくなるように思います。

中国問題グローバル研究所が発信している内容は、マスメディアではあまり見ませんが、Yahooやニューズウィーク日本版などのニュースサイトからも配信されていますので、もしご興味があれば、マスメディアとは違う視点からの情報をご覧いただければと思います。