偏った知識・情報の怖さ(その1)

研修やセミナーというお仕事をしていると、その中で私自身の考えをお伝えする場面が、必ずあります。

その際には必ず、私がなぜそう考えたのかという元情報や思考ロジックをご説明するのですが、有名人や著名人の発言やネットの口コミ記事を引用して反論されることも、よくあります。

当初は、私の説明が悪かったのだと思っていたのですが、何度も体験するうちにモヤモヤするようになってしまいました。

  • 著名人の意見を、自分が考えたかのようにお話しているが、これは本当に質問者ご自身の考えなのだろうか
  • 私が持っている他の情報についてはご存じないようだが、他の見方もあるとは思わないのだろうか

例えば、プラスチックのリサイクルの話題で、
「日本のプラスチックリサイクル率は必ずしも高くない」
というお話をさせていただいています。

すると、
「おかしい!日本のプラスチックリサイクル率は80%以上あり、世界でダントツだ!」
というお話をいただきます。

日本の行政が発表しているプラスチックリサイクル率は、確かに80%を超えており、欧州が約30%であることを考えると、相当高い割合を有しています。

でも、この数字には”からくり”があります。
リサイクルの約57%はサーマルリサイクル、つまり燃やした熱を回収していることになります。
ところが欧州をはじめ、多くの国はサーマルリサイクルを”リサイクル”と認めていないため、リサイクルの集計数に含まれていません。
サーマルリサイクルを除いた日本のリサイクル率は約25%であり、欧州の約30%と比べると低くなってしまいます。

さらに、サーマルリサイクル以外のリサイクル(マテリアルリサイクル)のうち約80%は海外に輸出しており、2018年に大半を受け入れていた中国が受け入れ停止を表明してから、国内にはリサイクルできないプラスチックごみがあふれ始めています。
自国内ではリサイクル材料を利用しているわけではなく、大半は新しく生産されたものを使っているのです。

皆さんは、この状況を知っても「日本のプラスチックリサイクル率は高い」と、胸を張って言えますか?(私にはちょっと無理です。。。)

インターネットが普及した現在、いろいろな人や組織がさまざまな情報を発信しています。
しかし、大半は何らかの意図を持った発信と思われます。
大学教授も、研究開発費をいただいているスポンサーの意向を無視した研究発表はできないでしょう。
私自身もこういう記事を書くのは、専門性をアピールして受注につなげたいといった意図があるのは否めません。
誰かがまとめて発信している情報は、何らかのフィルターがかかった情報の可能性が高いと認識しておくことが肝要です。

(次回に続く)

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