パナソニックの戦略とアダム・カヘン氏の共通項

去る11月1日に、パナソニックの創業100周年記念「Cross-Value Innovaton Forum 2018」と、アダム・カヘン氏招聘特別セミナーに参加してきました。

本来は全く違う内容のはずなのに、意外な共通点があったのでお伝えしようと思います。

パナソニックのフォーラムでは、「100年企業のイノベーション」というパネルディスカッションの中で、ビジネスイノベーション本部の本部長である馬場渉氏が話した「東洋医学的な考え方をベースにして、GAFA (Google, Apple, Facebook, Amazon)とは、戦わずに共存の道を探る」という言葉が印象的でした。
Appleの元CEO、スティーブ・ジョブズをはじめ、欧米の著名な経営者の一部が東洋思想を学んでいることは知っていましたが、日本の大企業の経営サイドから明確に聞いたのは個人的に初めてだったので、新鮮に驚きました。
また日本は、明治のころから「追いつけ追い越せ」(≒勝った負けた)を一つの原動力として進んできたように思います。今大企業となっているところは、まさにその行動が実を結んだ結果と思います。東洋的な思想に馴染みはあるものの、人も組織も「勝った負けた」に染まりきっている中で、「戦わずに共存・共栄」というのは非常に大きな試みと思います。現在シリコンバレーの「パナソニックβ」が中心となって行っているそうですが、できることなら、この変化を、「中」に入って感じたいと思いました。

アダム・カヘン氏のセミナーは新著「敵とのコラボレーション」の出版記念講演という位置づけでした。相容れない存在であるはずの「敵」とどうコラボレーションするのか、大きな興味を持って参加しました。
カヘン氏は南アフリカのアパルトヘイトやコロンビア内戦。アルゼンチンの経済危機などの世界的な難題にファシリテーターとして取り組んできた方です。本著はそれらの経験を体系化してまとめたものとなります。男と女、右派と左派、与党と野党、軍とゲリラ、宗教指導者、原住民など、明らかに相いれない人たちを一堂に集め、関係を作り、ワークショップやストーリーテリングなどを行いながら、将来のシナリオを作り上げていくプロセスは、あらかじめ計画した通りに進むようなものではなく、まさにその瞬間瞬間に場に発露したものを拾っていくようなものだったのだろうと想像します。実際に出来上がたシナリオは、その通り進んだものと途中で頓挫したものがあるようですが、シナリオ作りの際に築き上げたメンバーの信頼関係は、プロジェクトが解散した後でも続いているそうです。聞いていて、なんだかうらやましくなりました。
でも、国を揺るがすような非常事態ではなくても、意見や価値観の異なる人と何かを行うことは、日常的にあると思います。パナソニックのような企業戦略もしかり、家庭やご近所といったものもしかりです。そういった時に、カヘン氏の言葉にあった「賛同できないが信頼できる集団の力」を作りだしていくことは、こういった課題を解決する手法の一つだのだと思います。こちらも、「中」で実際にやってみたいですね。まずは日常の中の軽いものから意識してみようと思います。

どちらのお話も、「戦う」以外の手法で未来を作りだそうとして(作りだして)います。「勝った負けた」の競争は、行き過ぎると戦争までつながりかねないものです。「勝った負けた」以外の価値観を提供するお手伝いがしたいと、強く感じた一日でした。

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