過日、とある研究会の中で、SDGsに関するテーマで発表する機会をいただきました。

私は化学系出身のため、化学物質による健康被害や環境・公害問題とは切っても切れません。私自身も公害喘息に苦しんだ経験があります。今でも化学物質規制やプラスチック問題などの講義やコンサルティングを行うことも多いです。

そんないきさつもあり、「SDGsを環境問題から深堀する」というタイトルとさせていただきました。

2000年代に企業CSRが広まり、2010年代にはESG投資やコーポレートガバナンスという概念が浸透したと思いますが、それでも”環境問題”と聞くと、課題解決の必要性には異論はないものの、ビジネスという視点では「余裕のある会社が行う慈善事業」「きれいごと」「専門部署がやるもの」「自社には縁遠いもの」という認識がいまだに多いように感じます。

しかし、過去の延長に未来が見通せずVUCAの時代と言われる今、企業が生き残るためには、社会の変化に関心を持ち、その変化を先読みして手を打つ必要があるのではないでしょうか。

そしてSDGsは、そのためのフレームワークに使えると考えています。特にシステム思考で使われるループ図との相性が良いように思います。

今回の発表では環境省が提供しているガイドラインなどの資料のほか、「持続可能な地域のつくり方(著:筧裕介)」で示されている事例をいくつかモディファイして、紹介させていただきました。

SDGsは17の目標と169のターゲットから構成されていますが、その一つ一つは大きな概念で示されており、一企業(特に中小企業)には手に余るような表現になっています。でも、因果関係のループを作りバックキャスティングしていくと、自社の事業や技術が役に立つことが必ず見つかると思います。

先入観なしに、自社が持つ資源を見直してみましょう

現在は新型コロナウイルス対応で混乱の最中とは思いますが、私の支援先では「アフターコロナ」に関する議論を既に始めています。
また、学生のSDGsへの関心は高く、働き方改革に関する施策とともに求人に影響するようです。
そして、ESG投資のみならず、多くの銀行がSDGsに取り組む企業へ融資する商品を用意しており、資金調達面でも効果が期待できます。

これを機に、SDGsの視点を入れて、自社のビジネスを俯瞰してみてはいかがですか?