最近、労働安全衛生のマネジメント規格の動きが活発です。

早ければ年内にもOHSAS18001のISO化(ISO45001)が予定される中、中央労働災害防止協会(中災防、JISHA)がこれに対抗するようにJISHA方式のOSHMS(Occupational Safety and Health Management System)についての説明会を行いましたので、聞いてきました。

JISHA方式とは、厚労省の「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針(OSHMS指針)」(平成11年労働省告示第53号。平成18年改正)をベースに、中災防が独自要求事項を追加した規格です。厚労省の指針はOHSAS18001がベースとなっていますが、JISHA方式は、OHSAS18001ともISO45001とも互換性はありません。
ISO45001が求めるレベルよりも高いものを目指しているとのことで、ISO9001とデミング賞/経営品質賞と似たような関係かもしれません。

お話を伺っていると、ISO9001が出てきた当時、日科技連や規格協会が行っていた説明がフラッシュバックしてきました。その後の流れは皆さんもご存知の通りですが、OSHMSも同じような流れを辿るような予感がします。(^-^;)

 

ただ、気になる点が二つ。

ISO45001をJIS化するにあたり、厚労省は「指針」に含まれる内容を追加要求事項として入れることを検討しているとのこと。(「JISα」と説明)
こちらも独自規格になるようです。

OHSAS18001、OSHMS、ISO45001、JISHA方式、JIS、JISα。国内でも6つの規格が並立!!
これだけでもややこしいですが、海外顧客から「自国の45001相当規格の認証を取れ」と言われたら、さらにややこしくなりそうです。(^-^;)
(以前、中国の取引先から「中国のISO9001を取らないと取引しない」と言われたことがあります)

また、これら全てを認証できる認証機関は今のところないため、状況によっては複数の審査費用を払わなければならなくなります。
そうなると、受審企業の経済的・時間的負担もばかになりませんね。

 

もう一つは中災防の審査事業の収益面。

現在のJISHA方式の認定事業所は約360所。審査は3年に一回で費用は約100万。審査期間は約4~5日。審査員は2~3人/件。

これらの情報から計算。
年間の審査件数:120所
年商:約1.2億
審査員一人・一日あたりの売上:12.5万円/人・日
(4日・2人と仮定)

宿泊費、交通費、事務方の管理費用…etc.も考えると、事業として成り立っているのかな…。(滝汗)