皆さま、新年あけましておめでとうございます。
旧年中は大変お世話になりありがとうございました。

昨年12月22日に厚生労働省が「平成29年(2017)人口動態統計の年間推計」を発表しています。
それによると昨年の出生数は94万1,000人。出生数が少ないというと「丙午(1966年)」を思い浮かべる人も多いと思いますが、平成に入ったころには既に丙午よりも出生数が小さくなっているんですね。
彼・彼女たちが就職するであろう20年後には、生産年齢人口はとても少なくなっているでしょうね。

また、死亡数との差し引きから、昨年一年で日本の人口は40万人以上減ったことになるとのこと。総人口がどんどん減っていくので、日本の市場も小さくなっていくと思います。

一方、世界の人口増加はすさまじいものがあります。2017年6月に国連が発表した「世界人口予測2017年改定版」によると、世界人口は今後も毎年8,300万人が増加し、国別では中国やインドもさることながら、アフリカ、特にナイジェリアの人口増に目をみはるものがあるとのこと。アフリカの人口増は主に最貧困層の人々であるとのこと。また出生率低下は世界的な傾向であり、少子高齢化が進行しているとのことです。

これらのことから何が分かるでしょうか?

まず、日本に恐らく「大量生産・大量消費の時代」はもう来ないということ。そして、もし「大量生産・大量消費」の商売をしたいのであれば、中国、インド、アフリカを視野に入れる必要があり、また、その製品は安価なものが中心であろうということが予想されます。

「日本の自動車産業は残る」というお話もよく聞きますが、そうでしょうか?
JAMAによれば日本での四輪車の生産台数は微減傾向が続いています
一方、中国の生産台数は既に日本の2倍以上あり、まだ伸び続けています
輸送コストを考えれば、現地調達が進むのが自然ではないでしょうか?国内の調達は減少するため、国内の取引しかない企業様は売り上げが厳しくなってくるように思います。
また、海外市場と言えども「何年にもわたり安定的に商売できる」わけではないでしょう。液晶テレビやスマートフォンの生産を鑑みると、モデル変わりの時には新しい価値を常に提供していかないと、取引はあっという間になくなってしまうと思われます。

一方、欧米や日本、中国などは少量の高付加価値品の需要があると思います。この領域で商売するなら、常に新しい技術やデザインを導入したり、難度の高い技術を獲得するといったことが求められるでしょう。BMWは自動車や航空機の部品製造に3Dプリンターを使用しています。

また、スマートフォンは中国のHuaweiやOPPO、Vivo、Xiaomiが先進国でミドルグレードとして販売を伸ばしています。Huaweiは、昨年夏には、一時的にAppleを抜いてシェア2位になっています。
これを鑑みると、先進国であっても汎用品や日用品は安価に購入できる新興国のものを輸入して使用するのではないでしょうか。

それでは、日本の製造業はどのように生き残っていけばいいのでしょうか。

個人的には、以下の3分類になると思います。
1.海外で低付加価値品を大量生産。ただし、現地企業との激しい競争に勝つ必要。
2.グローバル市場に、高付加価値品を少量多品種生産、又は難度の高い製品の生産やサービス(保守、調整など)を提供。ただし、研究開発や設備投資のための体力が必要。
3.縮小する国内市場に耐えて生き残り、残存者利益を得る。ただし、輸入品との価格競争に勝つ体力やコストダウン、またM&Aなど本業以外のノウハウが必要。

1.は中小企業では、中堅規模以上でないと難しいのではないかと思います。
2.、3.はいずれも、現状や慣例に甘んじることなく新しいことにチャレンジしようとする意志が必要です。

当オフィスでは今後も「変わりたい」「変わらなきゃ」と思っている企業様のお手伝いをしていきたいと考えております。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。